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ブログ - 投稿者

Anseiさんの日記

2013
5月 18
(土)
21:42
日本文学の翻訳
カテゴリー  未分類
本文
まがら氏の「日本文学の海外進出」で書かれていることは本当に解ります。英語、仏語、露語などは同じインド・ヨーロッパ語族に属する兄弟・姉妹語です。日本語はウラルアルタイ語族に属し、そのなかでも漢字を採用し独自の発達を遂げた不思議な言語です。日本語のもつニュアンスは翻訳では殆ど失われてしまいます。散文はともかく、韻文(詩歌)の場合、伝わるのはせいぜい2−30%くらいでしょう。(私は「Anseiの和歌100選」という創作和歌のサイトを持っており下手な英訳を載せていますが、これは数人の外国人読者がいるためです。しかし翻訳の難しさは日常的に感じています)

 しかし、三島由紀夫の近代能楽集のドナルド・キーン訳などは中々のものです。源氏物語はやっぱりアーサー・ウェイリーの訳が最上です。サイデンステッカーは原文により忠実な訳を目指したといいますが、どうも紫式部の文体を完全に誤解しているようで私はがっかりしました。百人一首の「滝の音は絶えて久しくなりぬれど名こそ流れてなほ聞こえけれ」の完璧な英訳に20年以上も前に出くわしたことがあります。後にも先にも日本の三十一文字をこれほど見事に英訳したのは私の知る限りこの1首だけですが、残念ながら資料を失くしてしまい手がかりか掴めません。

村上春樹が外国でも人気があるのは良く解ります。彼は日本語そのものが持つ玄妙さなどには依存しない作家です。彼は講演で夏目漱石、谷崎潤一郎が好きで、川端康成、三島由紀夫は嫌いだ、と言ったそうですがこれも良く解ります。恐らく泉鏡花なども嫌いなことでしょう。三島由紀夫の目眩くような妖しい言葉使いに村上春樹は無縁です。彼は日本語独特の表現にそれほど重きを置いていない文学者、よく言えばグローバルな土俵で闘っている作家とも言えます。登場人物の心理と行動をサスペンス仕立てで描き、ストーリーを展開、そのなかに世界の巨匠文学者たちの箴言や、美術、音楽に対する薀蓄を上手く散らばせたりする「ちょっと高尚な雰囲気をもった大衆小説家」です。村上春樹は英語で発想し日本語に転換しているのでは、と思うことが私にはしばしばありました。彼の作品は恐らく最も翻訳しやすい日本文学かもしれません。彼の小説が海外で多く読まれているのは頷けます。

以上の理由で、村上春樹は翻訳に適した数少ない日本人作家の1人と言えます。
私自身は(彼の新作を読んだだけですが)特に心に残ったものはなく、“軽さ”だけが気になりました。ことさら感動したり、共感することもありませんでした。しかし、これだけ多くの人々に愛されているのはまさに現代を生きる作家、今日の空気を掴む達人なのでしょう。

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