Anseiさんの日記
2013
4月
27
(土)
11:38
本文
話題の作品「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」を読みました。村上春樹の作品を読むのは初めてです。朝まで徹夜で一気に読了しました。感想はこの作家が稀代のエンタテイナーだということです。きびきびした平易な文体。翻訳されることを想定したような会話の形。ミステリー仕立てで読者の興味を引っ張ってゆく手法。ワインやカクテルを含む食文化やブランド品に関する薀蓄。散りばめられたシェイクスピア、ヴォルテール、アルダス・ハクスレーなどの警句。並の人よりは頭がいいと思っている(あるいは思いたい)読者の自尊心をくすぐる術は絶品です。疎外感、絶望、死への怖れと願望といった深刻なテーマを扱いながら、読み終わって重く心に残るものは何もありません。唯一残るのは甘酸っぱい青春の香り。極めて爽快です。この本を読んだ殆どの人たちは1冊の小説を読み終えたという達成感と心地良い幸福感に浸ることでしょう。ハルキストという読者のグループが存在することは良くわかります。
村上春樹はノーベル賞候補に上がっているそうです。しかし過去のノーベル文学賞受賞者はいわゆる「純文学」に属する人たちです。その意味で村上春樹のような娯楽作家が受賞するのは難しいのではないかと思った次第です。
村上春樹はノーベル賞候補に上がっているそうです。しかし過去のノーベル文学賞受賞者はいわゆる「純文学」に属する人たちです。その意味で村上春樹のような娯楽作家が受賞するのは難しいのではないかと思った次第です。
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