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ブログ - 投稿者

Anseiさんの日記

2013
4月 18
(木)
15:04
三國連太郎さんの思い出
カテゴリー  未分類
本文
1971に私はフジテレビのディレクターとして、三国連太郎さんと仕事をしたことがある。ドラマはアメリカの作家アイラ・レヴィン原作の「死の接吻」、出演は鰐淵晴子、結城美栄子、紀比呂子、黒沢年男、江守徹、三国連太郎などであった。稽古の初日の午後4時頃、フジテレビ入り口にあった喫茶店「ラ・ポルト」でカット割りの整理をしていた私に「すみません三国がお会いしたいと言っています」と声がかかった。三国連太郎のマネージャーを務める女性であった。顔を上げる間もなく無精髭を伸ばした三国連太郎が「失礼しますと」と巨体を前の席に埋め、挨拶もそこそこに、「ここずっと北九州の山の中で古墳の発掘を見学していたんですよ」といきなり切り出した。それから1時間あまり、日本と朝鮮の関係、政治と芸術の関係などを語り合った。マネジャーの女性がはらはらしながら“申し訳ありません”という表情を私に見せていたが、私にとってそうした話題は日頃から興味を抱いていたこともあり、とても会話をエンジョイした記憶がある。話が終わると三国さんは「良くわかりました。一生懸命がんばりますので宜しくお願いします」と深々と頭を下げ去って行った。「良くわかりました」というのはたぶん、横田安正という若造の演出家がどういう人間なのかがわかったということなのだろう、と私は解釈した。稽古の2時間も前に来て彼は私をテストしたのである。

初日の稽古は無事終わったが、江守徹のだめ男の演技はメチャメチャに可笑しくて私は演出家でありながら笑いが堪えられなくて困ったが三国さんは私が吹き出しても謹厳な表情を崩さなかった。2日目の稽古の前、三国さんから声がかかった。「横田さん、ゆうべ寝ないで考えたんですがね、ここ、こういう演技に変えてはどうでしょうか?」と昨夜とは違う演技をして見せた。僕は直ちに「昨日のほうがいいです」といって彼の提案を断った。本番の初日、彼は再び「横田さん、ゆうべ寝ないで考えたのですが・・・」と言って別のシーンの演技をして見せた。私は即座に却下、前の演技に戻すよう伝えた。三国さんは演出と役者の関係は良くわきまえており、ゴリ押しをすることはなく素直に従った。
2日めの本番でも「横田さん、ゆうべ寝ないで考えたんですが・・・」が続き私の「却下」が続いた。

三国連太郎は演技に命をかけた人であった。実は私と仕事をする前、NHKで「リア王」を下敷きにしたアイヌの族長のドラマを演じたが、脚本は京大教授の山崎正和氏監修で作られたものの、シェイクスピアの原作を機械的に短くしたもので三国さんは納得出来ず、色々質問したがキチンとした答えがなかったという。そのため三国さんはノイロ―ゼになり、体調を壊してしまった。古墳発掘の見学に赴いたのはそういう事情があったという。この話は喫茶店「ラ・ポルト」で彼から直接聞いた。

私の願いは三国連太郎が国際舞台で活躍することであった。「アラビアのロレンス」を見たとき、三国さんだったらアレック・ギネスを上回るアラブ族長を演じられたのに、と思った。彼が国際舞台で活躍しなかったことが、返す返すも残念なことであった。

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